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鏡 〜出会い〜  04/24/2008  
鏡 〜出会い〜

坂野は休日の度に骨董店を巡るのが唯一の趣味である。
友人も少なく恋人もいない。世間では中学生の子供がいてもおかしくない年だ。
会社では第5営業部の部長で社内でも成績はよい方だ。
一人暮らしの男にとっては十分な収入があり趣味の骨董品には多少高くてもつい買ってしまう。
とりわけ鏡が好きで古い年代のものには目がない。

今日も洗濯などをそうそうに終わらせて骨董店へ足を運ぶのだった。
行き付けの店に顔を出し店主と雑談をしながら品物を見ていた。
「最近はなかなか新しい物が入ってこないんだよ。
あるにはあるんだけど良いものじゃないとお店に置きたくないからね」

「そう言えば最近、ここで買ってないなぁ。ジンさんと話ししてるだけだねぇ」
この町に引越してきてたまたま家の近くに骨董店があり、
なんとなく足を運んだのがきっかけで仲良くなった。
ジンはいつもニコニコしている。普段は静かだが骨董の話しになると
目を輝かせながら永遠と話し続ける。
時代背景やトリビア的な内容を面白おかしく話すのでつい聞きいってしまうのだ。
「なんか買ってよ。お店潰れちゃうじゃない」
笑いながらジンは冗談を言った。
坂野も笑いながら
「良いもの入たったらね」
ありきたりの展開だが気の合う二人には笑える冗談だ。
「そろそろ帰ろうかな。チーちゃんにエサあげないと。」
「そうだ。この前、年代とかはわからないんだけど、ちょっと変わった鏡を仕入れたんだよ。」
「ガラスの精度が悪いのかなんか歪んで写るんだよね。」
「不思議な形をしてたから買い付けたんだけど、やっぱり店に並べるのはどうかなって」
ジンは商品の配置、種類、アイテム数などこだわりを持っている。
ただ並べただけでは、骨董品の魅力が殺されてしまうと考えているからだ。
「え〜見せてよ。」
鏡コレクターとしては歪む事は二の次で鏡であることが大事だった。
「ちょっと待ってて。持ってくるよ」
不思議な形に想像を巡らしジンが戻ってくるのを待っていた。

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